概要
経済産業省では、毎年8月を「電気使用安全月間」と定め、電気事故防止に係る注意喚起やPR活動等を積極的に行っているところですが、今年度に入ってから、6月21日現在までの間に作業員が点検作業中に感電する事案が4件(うち2件は電気主任技術者本人が感電)発生しています。
いずれも「点検作業前に検電していない」「絶縁防護具を使用せずに活線近接作業を実施した」といった基本的な安全対策ができていないことが原因です。 感電死傷事故の危険性が高い夏場を迎えるにあたり、これまでも以下のような点に留意いただくよう注意喚起してまいりましたが、今一度、感電死傷事故の未然防止に係る取組の徹底・強化をお願いします。
留意すべきポイント
- 最大限、充電部に近接しないような作業計画となっているか。
- 設備の安全対策は万全に実施されているか。
充電部の防護対策(アクリル板、絶縁シート等)、充電範囲の注意標識等 - 作業者の安全対策は万全に行われているか。
絶縁用保護具の着用、高所における安全帯の着用、作業前検電の徹底等
(注意して作業してもバランスを崩し充電部に触れる場合があります) - 作業の管理体制は万全に整備されているか。
作業手順の周知、連絡体制の整備、予定外作業の禁止の徹底等 - 作業者の安全意識が浸透するような、組織環境が築かれているか。
発生年月 | 事故概要 | |
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R4.3 | 負傷 | 電気主任技術者が月次点検中、機器管理台帳を作成するためにキュービクル内に侵入し、ZPDコンデンサ部の銘板を撮影しようとした際、左脚部が断路器に接触して感電した。右手から出血し、病院に搬送された。なお、電気主任技術者は活線近接作業にあたることを認識していたが、絶縁保護具は着用していなかった。 |
R3.8 | 負傷 | 電気主任技術者が月次点検中、キュービクル内にツタを発見したため、除去しようとしたところ、LBSにツタが接触して左手から左肘が感電した。なお、被災者は軍手を着用していたが、絶縁手袋は着用していなかった。【図1】 |
R2.8 | 負傷 | 受変電設備の年次点検の際、清掃作業員が22kV受電盤内の清掃をしようとした時に、充電中である断路器1次側の碍子を清掃しようとして感電し、上半身に熱傷を負った。 断路器1次側の清掃は作業範囲外であったが、停電操作のため盤面は解錠されていた。また、現場では充電区域や作業範囲の表示がなく、作業員に対して作業範囲や役割分担について明確な指示もなかったことから、作業員は作業範囲であると誤認し、受電盤内の金網も外した上で作業を行い、感電に至った。 |
R2.7 | 死亡 | 停電作業が終了して復電した後、電気主任技術者が受電キュービクル内を確認するため扉を開けたところ、何らかの理由によりバランスを崩した。右ひじの外側が受電ケーブル立ち上がりのケーブルヘッドテーピング部分に接触し、感電した。病院に搬送されたが、死亡が確認された。 |
R2.6 | 負傷 | 年次点検中、委託された作業者がキュービクル内に設置されているVCBを引き出して清掃作業を行っていたところ、清掃用具がキュービクル奥の充電部(断路器一次側、33kV)に接触し感電負傷した。 被災者は救急車により病院に搬送され、電撃傷などにより数ヶ月の入院加療が必要と診断された。 【原因】
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H30.6 | 負傷 | 年次点検において、保護継電器試験による受電用遮断器を開放した際、電気管理技術者資格を有する被災者は、PASが開放され、構内全停電となっていると誤認し、受電ケーブルと計器用変成器(VCT)接続部に接触、感電負傷したもの。 |
H30.6 | 負傷 | 電気設備の調査のため、電気主任技術者に同伴していた被災者(実務経験1年)が機器銘板の写真撮影をしていたところ、誤って高圧充電部に接触、感電負傷したもの。原因は、現地調査のための作業手順が定められておらず、補助員に対する作業前安全指示が不十分であったと推定される。 |
H30.5 | 負傷 | 停電点検実施中に、下請会社の作業者がボルトの増締め作業を行っていたところ、工具を充電部に接触させ感電、発生したアークにより火傷した。作業者は検電器により盤裏面の無電圧を確認したことから、事故が発生した盤表面も停電しているものと誤認識し、予定外作業(盤表面増締め作業)を行ったものと推測される。作業者はヘルメット、防護メガネ、作業用ゴム手袋を着用していた。 |
このページに関するお問合せ先
経済産業省 中部近畿産業保安監督部近畿支部
電力安全課 事故担当
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6056(直通)
FAX番号:06-6966-6092
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最終更新日:2024年3月7日